長くなっております。
移動教室の話の続き、最終話です。
移動教室に参加できなかったふう太は、移動教室期間中、家で古畑任三郎のDVDを見まくっておりました。
参加できず残念がってはいたけれど、見たところ精神的にそんなにダメージを負っている感じはなく、むしろ行かないと決まったことにほっとしている様子でした。
移動教室後は友達からお土産をもらったり、写真を見せてもらったりして、思い出を分けてもらって和やかな雰囲気・・・
どちらかというと、私の方が
もう少しうまくサポートしていれば参加できたかもしれない・・・と、なんとも悔いが残ってしまいました。
それからしばらくして、スクールカウンセラーの先生とお話をする機会があり、移動教室にまつわるあれこれや、自分の対応に悔いが残っていることなどお話しました。
その時のカウンセラーの先生の反応はなかなか興味深いものがありました。
(以下 先生の話)
あはは!
まあね、こっちがいくら対策を提案してもずーっとうだうだ言ってたら、親としては正論吐いちゃいますよね~!
でもな~
『上手いやりよう』なんてあったのかなぁ?
ふう君はこの学校に3年生で転入してきてから、今までずっと登校渋りもなく、のびのび楽しく過ごせていたわけですよね?
前の学校で殴られたり蹴られたりしていた頃に出ていたような症状(頭痛や倦怠感など)は転校してきてからほぼなくて、今回それが5年ぶりに出たわけですよね?
そしたら、ふう君にとって移動教室はそれほどまでに精神的に負荷のかかるものだったってことで~
行きたくない理由が
・慣れないふとんで眠るのが嫌
・家じゃないところで眠るのが嫌
・家族と離れて眠るのが嫌
・なんかさみしい
なんですよね?
それって、まあたとえば、お母さんが提案したような対策もとてもいいと思うし、実際に宿で夜に寝る頃になって嫌だ~となっちゃった時に話せる先生をあらかじめ確保しておくのもいいかもしれない。
けれども、さみしいとか、なんかやだとか、なんか怖いとか、そういう感情って抑えられるものじゃないんですよ!
それでも、いつかはなんとかなっていくものなんですよ。たいていはね。
ふう君が大人になっても移動教室行けないかっていったら、たぶん行けます。
まあ、大人に移動教室ないですけど~
私はね、お母さん!
高校生になっても夜中に一人でトイレ行けなかったですよ!
親を起こして、トイレまでついてきてもらって、ドアの前で待っててもらってました。
怖かったんですよ~おばけ!
今は行けます!一人で!
高校生だし、わかってるんですよ、おばけなんかいないって。
1回も見たことないしね。
でもね、それをね、
『おばけなんかいないから大丈夫だ』だの
『歌でも歌えば怖くなくなる』だの
あーだこーだ言われるとね、
なんか腹立ってきちゃうんですよね😂
『んなこたぁわかっとるんじゃっ!それでも怖いもんは怖いんじゃっ!うるさいんじゃボケーっ!!』ってね!
あはははは!!
だからね、お母さんがどんっっなに素晴らしい対応をしたところで、結果はあまり変わらなかったかもしれませんよ。
というか、じゅうぶん対応されてたじゃないですか!
いまのふう君にとって、移動教室は5年ぶりの身体症状が出るほどしんどいものだったってことです。
そして、それは練習や訓練で克服しなきゃならない類のものではないってことです。
そのうち自然にできるようになるもので、そのときが来るのをのんびり待っていたらいい。
たしかに、本人に行きたい気持ちがあるから、なんとかして行かせてやりたい、行かせてやりたかった、そこが悩みどころなんですよね。
でも、ふう君自身は行けなかったことをそこまで気にしてないようですし、移動教室不参加ってのが人生に取り返しのつかない結果をもたらすなんてことは断じてないので~
え!?
来年のスキー教室は行く気満々なんですか!?
あははははははは!!
そしたら、次はもう少し早めに先生も巻き込んで対策練るといいかもしれないですね!
それでまた行けなかったとしても、まだ無理だったか~!って、あまり気にしないことです♪
ふふふ♪
(以上)
さすがカウンセラーの先生ですねぇ
気持ちが軽くなりました。
私自身、子育てするうえで『苦労の先取りはしない』というスタンスでやってきました。
来たる壁に備えて、わざわざ練習用の壁を作ることはしない、ということです。
たとえば、『幼稚園に入る前に親と離れて過ごす練習をして慣れさせておく』といったことはせず、幼稚園に入るその時にその壁を越えればいいと考えています。
『3年生になるとプールの授業でクロールのテストをするから、2年生のうちから練習しておく』のではなく、3年生でクロールをするときに練習する、それでいい。
だって、本来壁があるはずの時に越えようとすれば2週間で越えられる程度の壁を、本来より前倒しで練習用の壁を作ったら、それを越えるには2ヶ月かかってしまうかもしれません。
本来よりも発達段階が幼い状態で壁に挑めば、多大な労力を使って、疲弊して、嫌な思い出になってしまうこともあるでしょう。
子どもたちは日々成長していて、その成長ペースは本当に個々によって様々で。
何かが得意でも、何かは不得意。別の子はそれが正反対だったりします。
ふう太は今回、宿泊の壁は越えられませんでした。
今はまだ、ふう太にとって壁を越える時ではなかったのでしょう。
来年のスキー教室ではどうなるんでしょうね?
あっさり越えるかもしれませんし、また無理かもしれません。
いつか、ふう太のタイミングで越えてくれればいいなと楽しみに待つことにします☆
思いの外長くなってしまいました。
最後までおつき合いいただきありがとうございました。
~移動教室に行けなかった話 《完》~