溺れかけた子を助けた話

わが夫、あつお君は消防士です。
レスキュー隊に12年のっていた、根性ありありマンです。

あつお君の好きなことは自然のなかで遊ぶこと。
登山、ラフティング、キャンプ、釣り・・・

そんなあつお君のいるわが家では、夏にはよく川遊びに出かけます。

家から自転車で15分ほどの場所にきれいな自然の川の流れる公園があり、これがまたいいところなんです。



うちの遊ぶエリアは、ほとんどの場所が大人の膝下の深さだし、流れが速いところもほぼない。

プールと違って魚や虫など生きものもいるし、浮いたまま流れてみたり、ボールを流したり、人のいないところで石を投げてみたり、お腹が空いたらピクニックしたりと、なかなか楽しく遊べます。

暑い時期だから、遊び終わったら濡れたまま自転車に乗って帰ってきて、そのままお風呂です。

すごしやすいし、子どもたちもお気に入りの0円レジャーです。

さて、浅くて危険の少なそうなところではあるのですが、なんといっても川です。
みくびっちゃいけません。

その少し上流では過去に死亡事故がおきた場所もあります。

川の事故の現場もたくさん経験しているあつお君は、子どもたちにはしっかりしたライフジャケットを正しく着用させ、自身もヒモをひくとシュッと膨らむ簡易的な救命胴衣的なものを身につけています。

さてさて、その川なんですが、

わが家の遊ぶエリアでは川の真ん中が幅2メートルほどの階段状になっているところがあります。両側はコンクリートの壁になっています。
なかなか説明が難しいのですが、こんな感じ・・・

この階段部分だけは唯一流れが速く、水量の多いときは歩くのが大変なくらいです。

ここを浮き輪に乗って下ると、段の部分で水の流れが複雑に上下に渦巻くのか、弾むようにチャプンチャプンします。
それが楽しいんでしょう、わりと子どもたちの集まりやすい場所でもあります。

4年ほど前でしたか、あるとき家族でいつもの様に川遊びへ出かけました。

そんなに暑い日ではなかったのか、もしかしたら平日だったのか、遊びにきている人はほとんどおらず、私たち家族の他には母親と二人の男の子(5才くらいと2才くらい)の3人組だけでした。

5才くらいのお兄ちゃんのほうは水着を着て浮き輪に入って遊んでいましたが、弟くんのほうは普通の服のままで、足をぬらしたり、ごくごく浅いところでオタマジャクシでも探していたのか、お母さんとしゃがみこんで水面を触る程度でした。

お母さんは最初のうちはお兄ちゃんと弟くん2人に目を配っていましたが、例の階段状の場所を楽しそうに何度も繰り返し流れて遊ぶお兄ちゃんを見て、(大丈夫そうだな・・・)と気がゆるんでしまったのでしょう、お兄ちゃんから目を離しました。

そして、そこから3メートルほど離れた場所で弟くんの遊びにつきあい始めました。
お兄ちゃんの方には背中を向けていました。


階段状のところは、少し離れると壁に隠れてあまり見えなくなります。

お母さんの位置からは、お兄ちゃんは完全に死角に入っていたはずです。

私はそれが気になったので、壁のところに立って、ふう太とぽよちゃんを見守るついでに、そのお兄ちゃんのことも見ていました。
あつお君も同じく見ていました。

すると、お兄ちゃん、何度かチャプンチャプンしたところで水流にやられてひっくり返りました。
一瞬で、かぱっと。
見事に上下逆さまに。

そんなに深さはない場所でしたが、浮き輪から抜けられず、流れにもはまってしまい、逆さまになったまま水面から出た両足が揺れています。

妙に静かでした。



血の気がひく光景でした。
犬神家の有名なシーンのような・・・

私が動くより早く、あつお君が冷静な顔でサッと水に入り抱き上げ、
私はまだ何も気づいていないお母さんを大声で呼びました。

お兄ちゃんはむせてゲホゲホいっていましたが、とくに怪我もなく無事でした。

お兄ちゃんの浮き輪は、バレリーナのスカートのように腰に密着するつくりのものでした。
そのために余計に浮き輪から抜け出しにくかったのかもしれません。

この時のことは、強烈に記憶に残っています。

あつお君が助けなかったら、もしかしたら取り返しのつかないことになっていたかもしれません。

そのお母さんも水遊びをさせてあげようと思って、自分一人で二人の子どもをかかえて川までやってきたのでしょう。

最初のうちはお兄ちゃんのこともちゃんと見ていました。

でも途中で目を離してしまった。



ふう太が生まれてもうすぐ12年。
私も思い返せば、あの時は危なかったなと、ヒヤリとした経験はいくつかあります。

子育てで疲れていて頭がうまく回らなかったり、慣れてきて油断してしまったりと、判断を間違えてしまうこともありました。


暑くなってくると、毎年水の事故のニュースが耳に入ってきます。

楽しい夏のレジャーが悪夢にならないよう、水の事故の対策は本当に気を引き締めてやっていきたいと思います。

疲れている時には行かない。
子どもの数に対して十分な人数の大人で行く。
ライフジャケットを正しく着用。
(ベルトが緩いと水に入った時に顔が水面に浸かってしまう)
絶対に目を離さない。

などなど・・・

皆さんも、お出かけの際は安全にはしつこいくらい気をつけて、ぜひ楽しい夏をすごしてください!

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